![]() | 最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318) 石渡 嶺司 (2007/09) 光文社 この商品の詳細を見る |
大学生や大学関係者と接していてぼんやり感じていた「不安」を、これでもかと見せつけられる。そして、ダメ大学と高校の関係は、ダメ私立高校と塾(あるいは中学校)の関係によく似ていると思った。
私が主に接するのは生徒集めに苦慮する中堅〜底辺の私立高が多かった。学校名をクレイジーな名前に変えてみたり、共学にしてみたり、意味不明なコースを増やしてみたり、絶対に集まらないのに付属中学校を作ったり、入試日程をアホみたいに増やしたり……と同じことが、大学でもせっせと行われているのがよくわかった。
私のところに来るのは「ぜひ生徒を受験させてください(涙)」という高校の先生が多かったので、大学側の営業に対して実績も無いのに「指定校推薦を寄こせ」なんてエラソーに言ってるという現状を知って面白かった。
その他、この本では大学の情報隠蔽について、そのやり口と大学側の本音を暴露している。機能不全に陥っている職員の仕事ぶりや、AO入試の害にも話題は及ぶ。
ただ全編コケにし通しではなく、最後に希望を見せてくれる。
金沢工業大はずっと気になる大学だったが、ここまでやっているとは思わなかった。民間の力を借りようとした東大・早稲田の事例も(頓挫はしたものの)、上手に活用すればまだ成功の道が開けるかもしれない。
少子化で産婦人科や保育所が減ってる現状をダイレクトに食らう妊婦の身としては、「学生が減ったんやったらさっさと閉鎖か統合してまえ」と思う。何であんな無駄なものにしがみつくのか。本の中では「経営者・自治体の見栄」と言い切られてしまっていた。
ビジネスの基本から言えば、見込み客不在ならば撤退か新規開拓しかない。
一回、ある大学に頼まれて広報と宣伝の企画書を書いたことがある。
正直なところ、知名度・立地・就職実績などで自慢できる点が無い。
売りは「全学部の授業を好きに組み合わせて受けられる」という、頭のいい学生なら知的好奇心を広げるだろうが、この大学の偏差値から行けば「楽な授業、クリエイター&サブカルっぽい名前がついたおもろそうな授業」に学生が偏り、何も身につかないまま卒業するのが自明のシステムだった。
そこで「ここまで授業をバラ売りできるなら、地元の社会人や団塊の世代をターゲットに集客したら」という一案を盛り込んだら、大学側を怒らせたらしく企画料まで踏み倒されそうになった。いやだって、どんなに美辞麗句を並べても定員割れするんだから経営面から考えると…と提案したつもりだったが、もっと「ごまかし上手」な広告代理店に担当が変わってしまった。(ちなみに、三流大学ほど広告代理店のいい金づるになっている)
この本では、そういう大学や大学職員・学生をバカバカとからかいつつ、ちゃんと複数の視点から現状を引き起こした原因と解決のヒントを提示している。
これを読んで改革に奮起する、もしくは撤退の英断を下せる大学経営者が増えることを祈りたい。
文体は好き嫌いあるだろうけど、引用まみれの新書ではなく取材に基づいているし「読ませる工夫」が随所にある。ヘボ大学の広報よりずっと“集客の意志”が感じられる本だった。









