![]() | 官邸崩壊 安倍政権迷走の一年 上杉 隆 (2007/08/23) 新潮社 この商品の詳細を見る |
教育でモノを書いていて、安倍首相が「教育」を自分の政権の成果にしようと躍起になっているのにうんざりしていた。教育再生会議のメンバーは「これじゃ何にも決まらんやろな」という顔ぶれ。その内情が覗けるかと思って読んで、想像以上に酷かった。
第一次報告書を出そうにも全くの議論不足、メンバーそれぞれが各ジャンルでの“成功者”として自信を持っているだけに会議は単なる持論の発表の場にしかなっていない。これではロクな結果を出せないから、第一次報告書を見送ったらどうかというブレーンの進言に安倍が答えたセリフ。
「それさえもやる時間がない。7月の参院選までに何らかの目玉の政策を出さなくてはならないのだ」
……わかっちゃいたけど、情けない。
私には教育を仕事にする上での目標があって、「地方格差×経済格差×教育格差」の連鎖を解決する方法はないかと模索は続けている。地方の中学校、1学年10人を切るような学校の校長がぼやいた。
「人数が少ないから、贅沢なぐらい教師の人数は足りている。下手したら都会よりいい教育をしていると思う。でも、せっかく育てた子ども達を受け入れる“仕事”がこの土地には無い」
高校で少し街に出た途端、消費と夜遊びの快楽に溺れて就職意欲を失う子どもや、逆に都会の大学へ出て帰ってこない人材を嘆く。
こういう問題こそ、語られるべきなのに。
教育再生会議の報告書内で「地方格差」についてはほとんど触れられていなかった。頼みの綱は地方の小学校で現場にいた蔭山氏だったが、彼は「生活習慣の改善」をメインで訴えていてそこにまで議論が及ばなかったようだ。座長のヤンキー義家(北海道の私立高校で教壇に立っていた)に至っては教育委員会への文句ばっかりタレていたらしい。
…と、教育ネタになるとつい長くなってしまうのでここで止めておくが、この本は今読むにはめちゃくちゃ面白い本。毎日のテレビ画面に登場する政治家達や安倍君の思い出映像が、凄まじい息遣いを伴って良くも悪くも“生きて”見える。
この著者は文章が巧いので、一気に読める。
「銀の匙を銜えてきた者」とお坊ちゃん・安倍を評した一言。
そして連携が全く取れず迷走するブレーン達。
麻生・福田の写メ撮りにいってる暇があったら、この異様な一年を忘れないためにまず読んでおきたい本。メディア・リテラシーって課題だなと、国語教師としても有権者としても改めて実感した。
……で、どうなるんだろう教育再生会議。
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