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「わたしを束ねないで」 新川和江

わたしを束ねないで わたしを束ねないで
新川 和江 (1997/10)
童話屋

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リカちゃん人形の広告に「わたしを束ねないで」が使われており、心境的にタイムリーだったので再読。大学時代からの友人がくれた、可愛い装丁の本。1998年2月19日の日付が入っている。

 国文学専攻なので自然にこういう書籍のやりとりをしていたが、ほぼ10年を経て読み返すと「女友達にもらう本」として重く、お互いの就職・恋愛・結婚に至る変遷を思って不思議な気持ちになる。

 この詩集が秀逸なのは、「女の人生」をたどるように編集されている点だ。未婚のころは前半の恋愛詩に共感したが、今は出産を控えていることもあって「誕生」や「歌」に想像を膨らませる。


 はじめての子を持ったとき
 女のくちびるから
 ひとりでに洩れだす歌は
 この世でいちばん優しい歌だ

 (「歌」より)


 比喩が巧いとされている詩人だが、こういうシンプルなどうしようもなく王道の言い回しが入ってくる。母性信仰者に言われるとうんざりする言葉も、素直に受け止めてしまうのはなぜだろう。


 「わたしを束ねないで」と最初に宣言し、
 「ふゆのさくら」を最後に持ってくる編集が凄い。


 恋をして17歳で結婚し、 
 子どもを持つ喜びを歌い上げ、
 そしてラストで「結婚相手以外との恋愛」を告白する。
 怖いよ!新川和江!!


 わたしを名付けないで
 娘という名 妻という名
 重々しい母という名でしつらえた座に
 坐りきりにさせないでください わたしは風
 (「私を束ねないで」)

 
 リカちゃんは女の子の生き方を今も昔も応援してますってコンセプトで「わたしを束ねないで」を採用したらしいけど、「風」になるって現代でもまだ大変だ。妻や母のイスから離れて、自分の名前で仕事を続けるだけでも。

 
 ちなみにリカちゃんのプロフィール
 
 好きな色は白とピンク。
 好きな花は赤いバラよ。
 おかし作りが大好きなの。

 思いっきり「束ねてください」と言わんばかりの女の子。
 ……えーっと、広告会社の人、新川和江の使い方間違ってます。
 
 
 

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